天使からの贈り物 ごうちゃんを授かって(ダウン症って何?)№5

浜松市ダウン症の息子と絵本のある家庭文庫で子育て支援|えほん文庫|大村ゆみ

2011年01月24日 10:00



妊娠中のことを、何が悪かったのだろうか?と紋々と考え続けていた私ですが、ダウン症というのは受精の瞬間に決まってしまったことなので、何も悪いことはしていないし、誰にでも同じ確率で起こりうることなのです。また、わたしはダウン症っていうのは、どこか体の機能がダウンしている!という意味だと解釈して悲しい気持ちに落ちていったのですが、実はこの障害について最初に論文を発表した医師の名前、J.ラングドン・ダウン氏からとったものだったと知ったのは、先輩ママさんが手渡してくださった本からでした。ダウン症と告知されて、ふと、読み聞かせグループの先輩で発達学級に通っているYちゃんママに、連絡してみようと思い立ち、知り合いのママさんから連絡を取ってもらいました。そしてすぐに、携帯に電話が入り「近いからすぐ行くね!」と言って間もなく駆け付けて下さって、3冊の本をお持ちくださいました。医師からダウン症確定の告知された時に「この3週間にダウン症関係の本を、本屋さんや図書館でたくさん読みましたか?」と聞かれましたが、私は全く読んでいませんでした。筋力が弱いためにミルクの飲みの悪いごうちゃんの育児に明け暮れ、また産後の自分の体力回復と、心の葛藤の波にもまれて、またインターネットも繋がってなかったので、何も情報を得ることなく過ごしていたのでした。


Yちゃんママが3冊の本を手渡しながら、「大丈夫だから!」と何回も繰り返し言って下さり、また不思議なことを口にしました。「天国の会議で決まったことだから」と。私は、冗談かと思いましたが、真剣な表情で言い続けられました。そしてYちゃんもダウン症であるということを初めて知ったのでした。
「この本の中にも書いてある!」といって見せていただいた本は100人のダウン症児の家族が実名、写真入りで書かれた『ようこそダウン症の赤ちゃん』(三省堂)という本でした。本の巻末に収録されている詩「天国の特別な子ども」(Edna Massimilla作 大江祐子訳)を読んだ時、溢れる涙を止めることが出来ませんでした。不幸を背負った、という感覚から”私が、私たち家族が選ばれた!”というプラスの感覚に変わった瞬間でした。
その詩は「会議が開かれました。」で始まります。私は半信半疑で読み進めましたが、だんだんに明るい希望の光が見えてくるのを感じました。「。。。この子は特別のあかちゃんで たくさんの愛情が必要でしょう。この子の成長は とてもゆっくりに見えるかもしれません。もしかして 一人前になれないかもしれません。だからこの子は下界で出会う人々にとくに気を付けてもらわなければならないのです。。。授かった両親は自分たちに求められている特別な任務を、すぐには気が付かないかもしれません。彼ら二人が自分たちに求められている特別な役割を。。。柔和でおだやかなこの尊い授かりものこそ、天から授かった特別な子どもなのです。」(抜粋)そして、本当に覚悟を決めたのは夫から、上の二人の子供たちに、弟がダウン症であることを告げ、この詩を読んでもらった時のことでした。聞き終えた、小学二年生だった娘が、やおら、すっくと立ち上がり、敬礼して、天を仰いで「かしこまりました!」と言ったのです。その瞬間に私は、ごうちゃんを育てていく覚悟を決めたのでした。(詩の全文はえほん文庫に掲示してあります。)

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